北朝鮮に拉致され今だに帰国が果たされぬ横田めぐみさんの父、横田滋さんの訃報が届きました。ご自身の娘に逝くまで会えず、さぞ無念だったかと思います。ご冥福をお祈りいたします。
ここに投稿した絵とアニメーションは私が2年前に作ったものですが、再び投稿させていただきます。“Out Of Order”, 600mm x 600mm, 300gsmラグ・ナチュラル紙印刷+3mm厚アルミ板ダイボンド圧着仕上げ。売り上げは、家族会;北朝鮮による拉致被害者家族会を通してご親族に寄付させていただきます。
この絵は数年前、ロンドンの友人の植木屋の仕事の出稼ぎに行った際、とある大富豪ディレクターのリビングに飾られた一際目立つアンディ・ウォーホールの「毛沢東」を見たことから始まります。
米国フロリダ州の高校で17人の生徒や教職員が犠牲になった銃乱射事件がきっかけで見えてきたトランプ大統領と全米ライフル協会の癒着を揶揄したトランプ三部作を私は描き終え、米国と北朝鮮が相変わらず一触即発な関係で、米朝首脳会議はおろか南北首脳会談がまさに行われるか否かの前後の時期で、金正恩をどう描こうか思い悩んでいた時に、偶然ロンドンの大邸宅で見たウォーホールのシルクスクリーンの圧倒的迫力。
何度も見て知ってるつもりでしたが、刷り合わされた色と色の配合、絶妙な力の抜き加減、被写体をあざ笑うかのごとく「適当」に筆で入れたスクリブル。これを見た後、それまでのポップながらも暴力的なコンセプトは捨て、ユーモアに徹して嘲笑する戦法に切り替えよう、と思った瞬間にイメージが明確に浮かびました・・・あのまるで昔のダイヤル式の黒電話のような滑稽な頭髪。まさに閃きでした。
表現者として、世にはびこる理不尽を怒りを憤りを表現せずに何を表現するのか?パブロ・ピカソの「ゲルニカ」やノーマン・ロックウェルの黒人少女の絵を見るたびに、だらだらと自慰行為のように好きなもの、もしくは商業と割り切った作品でなく商品しか描かない自分を辱められている思いに掻き立てられ、311あたりから気付いたら自然な流れで社会的なテーマにも取り掛かり、時には人の心に土足で上がりこむ様な不快極まりない絵にも挑んで参りました。芸術こそ「武器」であり、自分の好きな世界や人に言われたものだけはでなく、怒りを大切にする「武闘派」でありたいと私は思います。
No comments:
Post a Comment