Friday, December 09, 2022

Edwin Valero Tattooed Barbie "Evelin Valera"

W100mm x H320mm x D100mm, August 2022. Edwin “El Inca” Valero (3 Dec 1981 - 19 Apr 2010), Venezuela. Former WBA super featherweight champion from 2006 to 2008, WBC lightweight champion from 2009 to 2010. 27 fights, 27 wins, 27 KOs.
ヴェネズエラのエドウィン・バレロ。WBCライト級とWBAスーパーフェザー級、世界2階級制覇チャンピオン。私が一番好きなボクサーなのだが、バレロを語るにあたりなんとも煮え切らないところがある。荒々しく攻撃的でかつパワーもあり、その異常なほどの獰猛さ・殺気・狂気、そしてそのあまりに悲惨な結末は彼がしばし「悪魔に取り憑かれたボクサー」と呼ばれる要因でもある。27戦27勝27KOという常識を逸脱した尋常でない戦績もそれを手伝う。

妻を刺殺して自殺を図る迄の私生活も尋常ではなく、12歳でボクシングも飲酒もドラッグも覚え、アマチュア試合で90勝近くしていたが、19歳でオートバイ事故を起こし頭蓋骨骨折、回復した翌年にプロデビューするも2年後オートバイ事故の後遺症で脳出血が発見されボクシング・ライセンスを取り上げられ、米国内での試合ができなくなる。
試合ができなくなったバレロは日本に渡り帝拳ジムに所属、ヴェネズエラに帰国するまでの四年の間に12試合する。
2009年より拠点を米国に戻しトップランク社と契約、数試合ビッグマッチをこなすも飲酒運転や度重なる妻へのDV容疑で数度の逮捕。更に重度のコカイン中毒で妻の左足を拳銃で撃ち抜くも妻を脅迫し口止めを強要していたという話もある。
2010年、ベネズエラで再度のDVで逮捕。その際、妻は肺の破裂と肋骨骨折を負い、バレロは警察へのタレコミを恐れ妻や母や病院関係者までも脅迫しその容疑で再逮捕、数日後に薬物とアルコール中毒治療の為精神病院に入院。その数週間後ホテルで妻を刺殺し、翌日刑務所で首吊り自殺し28年の生涯を終える。

というのが一般的にまかり通っている話なのだが、バレロ他殺説も根強く謳われている。胸にタトゥを入れるほど信望していたウゴ・チャベス大統領と蜜月の関係で、ある意味王様の如くやりたい放題だったバレロは敵も多く、事件の数ヶ月前から家族もろとも殺すという趣旨の脅迫電話をよく受けていたという事実もある。そしてこの頃そんなチャベスとも決別したという。
事情聴取初見の段階ではバレロ本人は部屋に戻ったら妻が殺されていたと証言しており、公式発表では独房で履いていたスウェットパンツを用いて首を吊ったとされているが、吊った際に首に残った痕がスウェットパンツと一致していないという不自然さを指摘する証言もある。故に何らかの秘密を安易にバレロに知られてしまったか、何かしらの恨みを買ったチャベス陣営のバレロへの報復、つまり自殺に見せかけた他殺なのではないか?真偽は定かでないが、そういうコンスピラシーもあることをここに書いておきたい。

試合では口を開け顎をあげマウスピースを剥き出しにし力任せの大振りな力んだパンチで一見テクニックなんてまるで感じず不恰好なのだが、不思議なのは練習スパーリングではまるで別人できちんと丁寧にジャブを打って距離を作りカウンターを見舞い、スパーリング相手を徹底的に潰すまで続ける。
因みにマニー・パッキャオ、バレロ両者とスパーリング経験のあるマイキー・ガルシアはバレロの方が断然強かったと話している。マイキーによると、ロサンジェルスの真夏の炎天下にサウナスーツで数時間のロードワークから帰ってきては休みもせずそのままバンテージを巻きグローブを付け、リングに上がりスパーリングを永遠と続ける。スパー相手が毎回潰されてしまうのでついには誰も相手をしたがらず、スパーのギャラは通常の数倍だったらしい。永遠に続けるサンドバッグ打ちも有名で、あるトレーナーが好奇心で数えたら、なんと3分間で900発も打ち込んでいたという話だ。

何かのインタビューで、バレロは日本での時間が一番純粋にボクシングに集中することができたかけがえのない時間だった、と言いながら日本の幼稚園の門前で妻と子供達と写る家族写真をはにかみながら見せたのだが、その姿は恐ろしい悪魔でもなんでもなく、ボクシングと家族を愛するただの青年だった。エドウィン・バレロ、享年28歳。
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